![]() パステル オービット |
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ゲームプログラマが語る。「ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団」に日本一ソフトウェアさんの超本気を見た
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![]() Nintendo-3DS版「モンスターハンター3G」が発売され数日が経過しましたね。モンハンはかなり好きな方でありますもので、わたくしTeamDyquemも例に漏れず購入し、粛々と少しずつではありますが、楽しんで進めております。 まだプレイ進行度が浅いという事もありますもので、ゲームとしての完成度やそのボリューム、楽しさ等、この辺りに関しましては恐らくは期待を裏切らないものであろう点も踏まえ、敢えて言及は避けておきつつ、今回はこの大作ゲームを、やや事なる視点から眺めてみたいと思います。 ![]() 大変な売り上げ数を誇るモンスターハンターシリーズも、今作では「3(トライ)」と言われるフェイズに突入しており、そのファンタジーな世界観は更なる進化を遂げ、更なる新鮮な楽しさを我々に届けてくれた。かの世界は実に幻想的で、活気に満ち溢れ、眺めているだけでも本当にワクワクと気持ちが高揚してくる様だ。 今回のステージは、「モガの村」。緑豊かな森と海の恵みを併せ持ち、ささやかながらも人々が暮らし、活気に溢れ表情豊かな営みを紡ぎ出している。本当に平和なユートピアであると言えるであろう。 物語は、この村がモンスターに襲われるというモンスターハンターシリーズ定番とも言える展開から始まっていく事になるのだが、今回のエントリーにおいてはなんと、モンスターに関しては一切合切割愛させて頂く事になる。モンスターハンターの話ではあるのだが、モンスターはどうでも良いという斜め下切込みである。 ![]() 客観的にみてこの村には、ある種閉鎖的ではあるが、狭義の上での循環経済システムが存在している。村人達の科白からそこが地方都市である事が示唆され、また、大きな都市部との交易も盛んである事が伺える。地方経済と都市政治が流通交易を行う、これはまさに独立した経済モデルそのものだ。 しかし、「モガの村」における経済は財政破綻寸前であり、社会主義的な一面を持ち、恐怖政治的管理経済の典型的なモデルとなっている事が見て取れる。一部の富裕層が富みを独占し、大多数の村民はその経済的恩恵を受ける事なく、過酷な労働から解放されないままそれぞれの生涯を終える事になる。 モガの村金融危機を彩る腐敗政治と、労働者から大量の金を抜く黒く合法化されたスキームにメスをいれてみよう。実に社会的だ。 まず、この村にはニ種類の貨幣が存在している。通常の買い物に使用するお金であるゼニーと、資源ポイントだ。これは、かつて中国にあった「人民元」と「外貨兌換券」の組み合わせそのものであり、「海外貨幣交換可能通貨」と「国内消費通貨」という点でもピタリと一致する。 経済学上では通常、こうした多重貨幣制度がもたらす効果とはつまり、国内相場固定化である。他国との物流や交易は変動相場を敷かざるを得ないが、国内は相場を固定化する。官僚達が国内市場を意のままに操りながら、交易も維持する事が可能となり、いわば、通貨的に鎖国状態であると言える。事実、モガの村で売られる様々な日常品は外貨取引(ゼニーによる支払いが)されているが、一部の人々の労働に対する報酬は国内限定通貨(資源ポイント)で支払われる。 あの村では何をするにも金がかかる。見習いハンター等の一般下級村民においてゼニーか資源ポイントは常に困窮を極めているのだ。生活維持の主軸となるであろう、回復薬やクーラードリンク等はインフレーションを起こした市場でボッタクリ価格となり外貨を要求される。 彼等が外貨を得る為には、危険で報酬の安い労働(クエスト)を盲目的にこなすか、国内でアルバイト(モガの森探索)を行う事になる。資産売買にて外貨(ゼニー)や国内通貨(資源ポイント)を獲得する事も可能だが、入村当時には資産等は無く、以後も、生命線となるであろう武器や防具を生成する為の「素材の備蓄」を切り崩して行くしかない。 一方で、見習いハンターが使用するかなり程度の低いであろう武器を一つ生産する為にですら、何万という法外な外貨(ゼニー)を要求される。外貨労働の為のクエストにも登録料が請求され、リタイアしても返金はされず、受けられるサポートは僅かな「携帯食料」や「携帯砥石」程度だ。国内の田畑を利用するにも金がかかり、レンタルで使用する為の施設を拡張する為の費用は全額消費者持ち。にも関わらず、その施設を利用する為にその都度その都度費用が発生し、畑での雇用費用もこちら持ちだ。 オーナーである天下り役人は、「どうすればよいんじゃったかのう…」と日々日向ぼっこを繰り返すだけだが、恐らくは年間数千万ゼニーという莫大な年俸契約がなされている事だろう。 この悪質な企業達は政治にも深く入り込み、強大な利権を我が物としているのだ。 村民が口を挟む事など叶わない。まさに完成された搾取の無限ループである。 ちなみに、僕は、このシステムが好きだ。美しいと思う。 素人に毛が生えたレベルではあるが、昔から経済学に興味があり自分なりに勉強を進めてきた僕にとって、合法的に大金を抜き取るスキームというものには、造形美的な意味を込めた大いなる興味がそそられる。 本惑星ではつい先日の出来事であるが、同じように経済格差が問題とされ、「Occupy Wall Street (ウォール街を占拠せよ)」と叫ぶ声が、ニューヨークマンハッタン島にそびえ立つエンパイアステートビルよりも高く掲げられた。世界中の富を独占する1%の人間が居るとしても、政治とは残りの99%のために行われなければならない。モガの村においても、村民は声を上げるべきなのだ。 経済とは官僚が土台を設け、民が造り上げていくものだ。政治が介入しすぎればそれは計画経済となり、この手法が上手く行かない事は、惑星地球においては歴史が証明している事である。モガの村も、少なくともこの点については地球を見習うべきであろう。ドス黒い利権にまみれていては、ハンターも安心して村を守れない。 その上で政治が民をサポートすれば良いのだ。政府や官僚の持つ信用というものは、突き詰めていけば結局は単なる「徴税権」に他なりはしない。それは良い。必要なことである。だが、体をはって村を守り、その為に生産を行っているのは誰であるのか、もう一度見つめ直していくべきであり、村長やセガレはその真意を今一度民に問うべきであろう。 次回作モンスターハンターにおいては、村長の名前を是非「ハシモト」として欲しい所である。 ![]() 編集後記 念のために言っておきますけれども、ネタですよ^^;;; ![]() シリーズ記事まとめ ■Aニュース、ガジェット通信 寄稿記事 「『連載.jp』寄稿「ゲームプログラマが語る「プロ棋士に勝ったAIは、タクシー基本無料化をもたらす?」」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る ”買わない理由”がもたらす充足感と、開発者達の心理」」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る アップデート版に潜む開発者モラルハザード」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る ソフトやアプリと携帯ゲーム課金における経済行動学」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る。新しいゲーム機が定期的に生まれる理由」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る 楽しさの仕組み ゲームメカニクス」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る 3Dテレビとゲームの微妙な関係 その打開策」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る 無料アプリのビジネスモデルと舞台裏」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「新発表ラッシュに見るクラウド大航海時代の幕開け」」 ■ゲーム制作初心者さん向け系 ゲームプログラマが語る。なんちゃってリードプログラマにはなるな!ゲーム造りで放棄してはいけない大切な事 ゲームプログラマが語る。今さら聞けないフレームレートに纏わる話。秒間60?16ミリ? ゲームプログラマが語る。「浮動小数点」と商業レベルで上手に付き合う方法 「ゲームプログラマが語る。ゲーム制作初心者の方へ小ネタ「クォータービュー入門」」 「ゲームプログラマが語る。「正しい乱数」が彩る確率世界とエンターテイメント」 「iPhoneアプリ、ゲーム制作初心者の方へ小ネタ「線分と円の交差」」 「iPhoneアプリ作者より、ゲーム制作初心者の方へ小ネタ「2Dベクトル」」 「iPhoneアプリ作者より、ゲーム制作初心者の方へ小ネタを一つ」 ■「プロのゲームプログラマとして、ゲーム製作に関する書評を」シリーズ ゲームプログラマが語る書評:「MMORPGゲームサーバープログラミング」を読んでみた ゲームプログラマが語る書評:「ゲームプログラマになる前に覚えておきたい技術」を読んでみた ゲームプログラマが語る書評:「ゲームエンジン・アーキテクチャ」を読んでみた ■個人でも出来る、マルチプラットフォーム開発関連 「ゲームプログラマが語る。iOSゲームをWinマルチプラットフォーム開発・その4」 「ゲームプログラマが語る。iOSゲームをWinマルチプラットフォーム開発・その3」 「iPhoneアプリ作者が語る。マルチプラットフォーム化その2・アトミック型定義のススメ」 「ゲームプログラマが語る。iOSゲームをWinマルチプラットフォーム開発・その1」 ■リリースしました系 「PASTEL-ORBIT/TeamDyquemアプリ第19弾。ローグライク決定版「隣人は魔王」をリリースしました。」 「TeamDyquemアプリ第18段。ご当地バトルRTS「埼玉クエスト」をリリースしました。近隣の県を滅ぼそう(*-_-*) 埼玉以外でも遊べます #47app」 「アプリ新作「ネコりす マカロン」をリリースしました」 「埼玉県ご当地アプリ、「タッチ the さいたま」をリリースしました #47app」 「アプリ新作「ひよこガーデン」をリリースしました」 「TeamDyquem新作。結構真面目なアクションパズル「ネコりす」リリース」 「iPhoneアプリ作者が、iアプリ「泡リス女子部 for iアプリ」をリリースしました」 「自作iPhoneアプリ改良版、「ネコがゴミのようだネ:アーケード」をリリースしました」 「iPhoneアプリ作者が、「まりも育成」for iモードをリリースしました」 「iPhoneアプリ新作 「ナタ・デ・ネコ」 をリリースしました」 「秋刀魚は関係ないけれど、新作「i-Wishbone」リリース」 「アプリ新作「ネコがゴミのようだ」。プロモ動画をアップしてみた」 「「泡リス 女子部」、販売開始」 「AppBankにまりも紹介記事が!」 「ゲームプログラマとして参加。ご当地47都道府県アプリプロジェクト #47app」 □ビジネス系 「ゲームプログラマが語るドコモiPhoneと、インフラから合法的に大金を抜くスキーム」 「ゲームプログラマが語る。秀丸エディタのビジネスモデル」 ■SFネタ系 「ゲームプログラマがSFを語る。意識はどこからやってきて、死んで、そして何処へ行く?」 「ゲームプログラマが語る。気の遠くなるスキもない程の、宇宙の話」 「iPhoneアプリ作者が語る。流れ星に馳せる真実」 「iPhoneアプリ作者が警笛。どこでもドアの使い過ぎには注意」 「iPhoneアプリ作者が語るSETI理論。異星人さんは何処!?」 ![]()
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