![]() パステル オービット |
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![]() そう言えば、一度もやっていなかった事に気がつきました。 ゲームプログラマなんていう職業に就いておりながら、ゲームレビューというものを。 気がついていなかったというよりも、なんとなく避けていた、その方が正確ですが。だって、あれですよ。偉そうじゃないですか。同業他社様、同業者様へ対しましても、どこか失礼な気も致しますしね。 しかしながら、リーマンショックやオイルショックも真っ青な深刻ネタ枯渇且つ、コンテンツ飽和状態に陥っている当ブログ。選り好みをしている場合では御座いません。 勿論、単なるレビューでは無く、あくまでもゲームプログラマ目線でお届け、 TeamDyquemで御座います。みなさま、ごきげんよう。 これまた新エントリーシリーズ、ゲームレビュー編#01ですよ。 記念すべき第一回目に相応しい一本は、これ。 当方ツイートをご覧頂いている方には、はまりっぷりが伝わっている事かと存じますがこれ。 世間を賑わせている、斜め上ゲームであるこれ。 ![]() 東京ジャングル TOKYO JUNGLE (トーキョージャングル) posted with amazlet at 12.06.12 ソニー・コンピュータエンタテインメント (2012-06-07) 売り上げランキング: 7 本作品。かなり以前より制作が公表されており、当時は2D作品である事が知られておりましたが、正直、シュール過ぎた感もあり、様々なとらえ方がされておりました。 相次ぐ発売延期に市場からは注目を失いつつあったのですが、本年度になり急遽復活。3Dとなり、その思想が失われていなかった事を受け、再び注目を集めたことも記憶に新しい。 さて、ヒストリーはこの辺りにしておきましょう。 このシリーズは、そこそこ辛口トークで参ります。 予め、ご了承頂ければと思います。 ![]() 印象 正直、僕個人は全くノーマークの一本でありました。 故に、殆ど前知識の無いまま初回プレイを迎えたのですが、まず、UIの豪快な破損っぷりに不安はMAXへ。細かい事ではありますが、例えば、SHOPメニューに入り直後にキャンセルで戻ってきているだけであるにも関わらず、問答無用のオートセーブが入り数秒の強制ウェイトがかかる場面。 経験上、こうした、「誰でも、一目見れば気がつく筈の不親切さが、製品版に当たり前のように残っている」こうした事態を招いているものはたいてい、設計思想や技術的な問題ではありません。 「直している時間が無かった」 十中八九、これに集約されるのです。 また、「睡眠」というコマンドを使うと、ヒヨコでプレイしていた筈なのにビーグルへ変化したりと、派手なバグがネット中の話題になっていますが、これも、開発チーム全員が承知しているバグであったのだと想像に容易い部分ですが、同様の理由です。 しかし、これらを悪く言っているのではありません。 限られた資本の中で、最大の努力をされたのでしょう。 寧ろ、何度かチーム破綻の危機についてゲーム業界ニュースとしても採り上げられ、にも関わらずこうして発売を迎え、ここまでの大きな話題へと育て上げたご苦労や頑張りを、素直に尊敬致します。 ![]() ゲームプログラマ的、印象 さて、そうした事を踏まえながら、筆を進めてまいります。 一般ユーザーの皆様目線では、例えば、 スモッグ発生しすぎだろ無理ゲー! 動物アンロック条件厳しい! ヒヨコ可愛い! 仲間指示コマンドを何故、三角ボタンに割り当てたし!やり辛れぇ! ヒヨコ喰いてぇ! 等といった様々な不満もあるかと思います。 僕も同意見でありますが、ここは一つ、技術的にモノ申させて頂きましょう。バッサリと。 最大の不満点は、 1Pカメラ+2Pカメラ コレが本当に大きい。本当に残念です。 ここ数年、滅多にはお目にかかれない程の破綻カメラでありました。 まず1Pカメラ。 正直、主観カメラでは無い点、これはいいんです。 「主観カメラ」とはつまり、自分目線カメラ、ないしそれに類するものですね。360度、どこでも観る事が出来る点が特徴です。 このカメラで、このゲームを遊べたら、さぞかし楽しい事でしょう。 それは、僕もそう思います。しかし、これを実装していなかった事について、業界人としては、不満はありません。寧ろ、リソースジャッジ的に大正解でしょう。 これで、もしも主観カメラを搭載しなければならなかったとしたら、この感じですと、恐らくプロジェクト中止となっていた事でしょう。カメラを自由に動かせるという事は、それに見合ったマップを作りきらなければなりませんからね。 何処へでも自由にカメラを向けられるという仕様は、それを実現するに見合う人員リソースと期間が必要です。こんな事すらをも瞬間的にジャッジ出来ないディレクターの跋扈する昨今ゲーム業界でありますが、この点、東京ジャングルチームは恵まれていたようです。 しかし、だからといって実装が疎かになってはいけません。 各所の実装を拝見するに、プログラマー陣営はやはり人的リソース不足が目立っている様に思います。 スキルウンヌンはこの際置いておきますが、どう見てもエンジンからの制作ですし、破綻だらけのレンダリングではありますが、パフォーマンスチューニングは相当なレベルです。PS3としては及第点かなと油断しておりましたが、縄張りへ突入した際に現れた無数の動物たちが一斉にプレイヤーへ襲いかかります。パッドを汗まみれにしながらもそのフレームレートが維持されている点に関心しておりました。 勿論、いわゆる「なんとか無双」方式では無く、姿勢計算は全て個別に行われている様でありましたね。SPUを上手に使っていますね。 本当に、頑張って作られたのかなと思います。 基本はレールカメラである筈ですが、要所に点在するspecific的カメラに関して、ディレクターからの無茶な指示と実装スキルのバランスが折り合っておらず、結果、テレビが壊れたのかと思う程のガクツキになってしまったりしています。 高度なカメラ制御はとても実装の難しい分野ではありますが、しかし。 カメラだけは、どんな言い訳も通用しません。 ユーザーの中には、不安定なカメラ、ただそれだけでプレイ不可能になる方々も多数居ますからね。 更に。 基本的な作りはこのカメラのままでも、まあ良いのですけれど、 せめてL1+右スティックなどで、「自分は移動せずに、少し先を覗き見るように、カメラだけをちょっと動かせる」機能が絶対に必要でした。 ディレクターがボケっとしているのならば、これは、プログラマから是非とも提案しなければなりません。それでもボケっとしているようなディレクターならば、現場のプログラマが直接、もう一段階上層へ掛け合わなければならないレベルです。 雨だのスモッグだので視界が遮られる事の多いゲームです。それ自体は演出として許容出来ますが、そうした仕様であるにも関わらず、「レーダーに映る生物マーカーに肉食や草食の区別が無い」という更なる能動性難易度上昇仕様を敷設しているのですから、ユーザーにとって、レーダーの存在意義が更にもう一段階薄れているんです。 レーダーに何が映っていようとも、肉食、草食問わず、結局は忍び足で歩み寄る以外に選択肢が提示されていません。ゲーム性に貢献していないんです。 これは単なる「縛り」になってしまっており、ユーザーによる手順が一つ、形骸化している事を意味します。 存在意義が半減している上に、半減したその部分はストレスへ転嫁されているという事です。 残念なんですが。。。 これならばせめて、「肉食獣には草食獣しかレーダーに映らない」、「草食獣は本能的危機察知能力が高く全ての生き物が映るが、それが肉食獣か草食獣かまでは判らない」、そうとでもした方が、よほど合点がいくというものです。 しかし、そうであるとしても、「少し先を見る事が出来ない」これは、意味不明過ぎるのです。 コレが出来ないのならば、解決方法はただ一つ。 「主観視点を実装する」以外にはあり得ません。 主観視点に出来ない、これは、ユーザーの視界を奪っている事そのものでありますが、上記の通り、ゲーム制作にはコスト的にも色々な事情が存在しています。 これは、ディレクターのミスジャッジであると断定して良いでしょう。 これを解決出来ないプログラマーなど存在しない、技術的には、それ程に簡単な事でありますからね。 マルチプレイが搭載されている事は、とっても嬉しい要素なのでありますが、もう一つ。 2Pプレイ時の、カメラも残念でした。 あの状態になるならば、1人ずつプレイしようか……、そうしたちょっと寂しい声が、沢山聞こえてきそうです。 ![]() 結論。「超」良ゲー さてさて。バッサリと切って参りましたが。 本シリーズは、今後もこの形にて進めて参りたいと思います。 富樫氏名作「レベルE」より名台詞を拝借致しますが、不満が出るのはハマり始めている証拠。この点、激しく同意であります。 一、ゲームプログラマといたしまして、「あー、ここがこうなってればもっともっと面白いのに!」自分の作品を棚に上げながらも、そうした想いが沸き上がる「名作」を、これからも採り上げて参りたいと思います。 その上で。 東京ジャングル、良ゲームです 大好きです!めっちゃ面白い! 間違い在りません。やっすいやっすい買い物でした。 土日で、10時間位遊びましたが、まだまだ全然楽しい。 不満である点に関しましては、ある程度理論立てて説明出来るんです。誰でも。子供でも。 しかし、面白い理由を理路整然と説明する事は本当に難しい。少なくとも、僕にはまだまだです。 そういうチキンな理由に基づきまして(東京ジャングルだけに!) この面白さを伝えるという役割は多くの有名メディア様に委ねる事とさせて頂き、 当サイトならではのアプローチを試みてみました。 ステルスマーケティングでもなんでもなく、単純に、おもしろい! 本当に、そう思います。 こうしたチャレンジングなゲームが、もっともっと売れて欲しい。 一業界人と致しまして、心からそう願います。 ゲーム業界へ大きな一石を投じた、名作だと思います。 さて、まだまだ遊びますYO^^v ![]() シリーズ記事まとめ ■Aニュース、ガジェット通信 寄稿記事 「『連載.jp』寄稿「ゲームプログラマが語る「プロ棋士に勝ったAIは、タクシー基本無料化をもたらす?」」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る ”買わない理由”がもたらす充足感と、開発者達の心理」」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る アップデート版に潜む開発者モラルハザード」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る ソフトやアプリと携帯ゲーム課金における経済行動学」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る。新しいゲーム機が定期的に生まれる理由」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る 楽しさの仕組み ゲームメカニクス」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る 3Dテレビとゲームの微妙な関係 その打開策」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る 無料アプリのビジネスモデルと舞台裏」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「新発表ラッシュに見るクラウド大航海時代の幕開け」」 ■ゲーム制作初心者さん向け系 ゲームプログラマが語る。なんちゃってリードプログラマにはなるな!ゲーム造りで放棄してはいけない大切な事 ゲームプログラマが語る。今さら聞けないフレームレートに纏わる話。秒間60?16ミリ? ゲームプログラマが語る。「浮動小数点」と商業レベルで上手に付き合う方法 「ゲームプログラマが語る。ゲーム制作初心者の方へ小ネタ「クォータービュー入門」」 「ゲームプログラマが語る。「正しい乱数」が彩る確率世界とエンターテイメント」 「iPhoneアプリ、ゲーム制作初心者の方へ小ネタ「線分と円の交差」」 「iPhoneアプリ作者より、ゲーム制作初心者の方へ小ネタ「2Dベクトル」」 「iPhoneアプリ作者より、ゲーム制作初心者の方へ小ネタを一つ」 ■「プロのゲームプログラマとして、ゲーム製作に関する書評を」シリーズ ゲームプログラマが語る書評:「MMORPGゲームサーバープログラミング」を読んでみた ゲームプログラマが語る書評:「ゲームプログラマになる前に覚えておきたい技術」を読んでみた ゲームプログラマが語る書評:「ゲームエンジン・アーキテクチャ」を読んでみた ■個人でも出来る、マルチプラットフォーム開発関連 「ゲームプログラマが語る。iOSゲームをWinマルチプラットフォーム開発・その4」 「ゲームプログラマが語る。iOSゲームをWinマルチプラットフォーム開発・その3」 「iPhoneアプリ作者が語る。マルチプラットフォーム化その2・アトミック型定義のススメ」 「ゲームプログラマが語る。iOSゲームをWinマルチプラットフォーム開発・その1」 ■リリースしました系 「PASTEL-ORBIT/TeamDyquemアプリ第19弾。ローグライク決定版「隣人は魔王」をリリースしました。」 「TeamDyquemアプリ第18段。ご当地バトルRTS「埼玉クエスト」をリリースしました。近隣の県を滅ぼそう(*-_-*) 埼玉以外でも遊べます #47app」 「アプリ新作「ネコりす マカロン」をリリースしました」 「埼玉県ご当地アプリ、「タッチ the さいたま」をリリースしました #47app」 「アプリ新作「ひよこガーデン」をリリースしました」 「TeamDyquem新作。結構真面目なアクションパズル「ネコりす」リリース」 「iPhoneアプリ作者が、iアプリ「泡リス女子部 for iアプリ」をリリースしました」 「自作iPhoneアプリ改良版、「ネコがゴミのようだネ:アーケード」をリリースしました」 「iPhoneアプリ作者が、「まりも育成」for iモードをリリースしました」 「iPhoneアプリ新作 「ナタ・デ・ネコ」 をリリースしました」 「秋刀魚は関係ないけれど、新作「i-Wishbone」リリース」 「アプリ新作「ネコがゴミのようだ」。プロモ動画をアップしてみた」 「「泡リス 女子部」、販売開始」 「AppBankにまりも紹介記事が!」 「ゲームプログラマとして参加。ご当地47都道府県アプリプロジェクト #47app」 □ビジネス系 「ゲームプログラマが語るドコモiPhoneと、インフラから合法的に大金を抜くスキーム」 「ゲームプログラマが語る。秀丸エディタのビジネスモデル」 ■SFネタ系 「ゲームプログラマがSFを語る。意識はどこからやってきて、死んで、そして何処へ行く?」 「ゲームプログラマが語る。気の遠くなるスキもない程の、宇宙の話」 「iPhoneアプリ作者が語る。流れ星に馳せる真実」 「iPhoneアプリ作者が警笛。どこでもドアの使い過ぎには注意」 「iPhoneアプリ作者が語るSETI理論。異星人さんは何処!?」 ![]() スポンサーサイト
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