![]() パステル オービット |
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ゲームプログラマ視点で語る。新型VITAの噂あれこれ
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![]() 漸く終焉を迎えようとしている八月。待望の八月末で御座います。 特に何があるという訳ではありませんが、昨今なにしろ、随分と異常な気象が列島を襲っておりますわけで、悪意あるこの惑星で暮らしを営んでいくというのは筋縄ではまいりません。 暑いは蒸すはゲリラ豪雨だわで、表に出たってろくな事がありませんよ? アロエリーナも裸足で逃げ出しますが、今日も今日とてTeamDyquemで御座います。みなさまこんにちは。 CEDECへ向かう電車車中にて本稿を書いておりますが、今!まさに今!右手を流れる景色の中で、バタバタと激しい豪雨が降り始めました。(ホントに今、降り始めました) もうですね、11月くらいまでは引きこもってゲームでもやっていたいものです。 そう、VITAならね。 もうほんとワケが判りませんが、本題へ。 ![]() 新型VITA このところ、話題へと上る事の多くなった新型VITA。 噂それぞれにおける信憑性については敢えて棚上げしつつ、と言うよりも、知っていても書けませんので、ゲームプログラマ視点として俯瞰で眺めた際の知見を、幾つか展開してみたいと思います。 が、その前に、現行VITAについて徒然と。 そもそも、VITA自体が非常に優れたハードウェアである点は、ある程度周知の事実でありましょう。 タイトルラインナップに恵まれているとはお世辞にも言えず、モンハンに見放されているとか、3DSは十倍出荷台数だとか、色々と不遇が重なっている事実は否めませんが、単体の携帯コンソールとしましては、ゲーム機史上における空前の完成度であると言っても決して過言ではありません。 時代に即した十分な性能を持ち、開発もし易く、プラットフォームホルダーであるソニーも存分に力を入れており、そしてまた、年末に控えたPS4との超連動に向け着々と準備が進んでいる事でありましょう。 価格調整含めたこれからのマーケティングプラン拡充も見渡してみれば、実は、恐るべきポテンシャルを秘めた――まさに孫悟飯的な――英機なのであります。 そんなVITA発売より二年弱。今、このタイミングで新型機を市場投入する理由はそんなに多くありません。 その辺りの考察を踏まえまして、噂になっている各種機能群等へ触れて参りましょう。 ![]() いろいろな噂 ●型番が変わる? PCH-2000であるとか、色々と錯綜しておりますね。 正直、型番が何であろうとも別に大した話ではないのですが、「PCH」の部分ではなく数値部分が更新されてくるのか、それにより解釈は変わります。 PCHに変更が加わるならば、それは、 「21世紀ゲーム業界無かった事にしたかったハードナンバー1」 「もう誰も持っていないどころか覚えてすらいない」 悲しき携帯機、PSP―Go。 新VITAが、 まさかの「PSP―Go枠」 での登場だなんて事になりましたら、それはそれで業界を席巻するかもしれません。違う意味で。 PSP―GoではUMDドライブを廃止したわけですが、VITA―Goでは何を取り払うというのでしょう。カードスロット?? パテでも埋めとけ。 メジャーバージョンチェンジは慎重に。 ●メモリが増える? PSP1000がPSP2000へアップグレードされた際は、32Mから64Mへの搭載量倍化がありましたので、通例に習うならば、新VITAにおいては512Mから1Gへの搭載量増加が見込めると考えられるでしょう。 ただし勿論、ゲームコンソールはパソコンではありませんからね。ほいほいとメモリを増やせば良いというものではありません。 仮にメモリが2倍、4倍と増えたところで、これまでも、これからも、VITA用ゲームにおいて使用出来るメモリは512Mのままです。 こうしなければ、これ以降に登場するゲームが初代VITAでは動作しなくなってしまいますからね。 コンソール機における互換性の維持は、至上命題です。 では、増えたメモリをゲームが使う事も出来ないのに、何故搭載量を増やすのでしょう。 これは、OSが利用するのです。 ゲームそのものは512Mまでの領域しか使用出来ないという、PSP同様の機構を踏襲する事でしょう。その上で、余った512MなりをOSが様々な形で使用します。例えば。 ○マルチタスク化 iPhoneでホームボタンを二度ポチポチと押せば、画面下部からニュッと表れる、「裏で動いているアプリ」(厳密には違うのですが)。 こうした機構をVITAでもスムーズに取り扱う為には、ゲームに占有される512M以外に、OS占有メモリが必要です。 使っていないアプリの情報をこの領域に置いておけば、アプリ間切り替えもストレス無く行える事でしょう。 ○キャッシュ PSPで増えたメモリの主な使用用途でした。 PSPはUMDドライブという物理ディスクメディアでありましたので、その 読み込み速度が色々なゲームにおける足枷となっておりました。 OSが自動的にファイル内容をキャッシュする事で、一部、ロードによるストレスは軽減されていましたね。 VITAに物理ドライブはありませんが、VITAカードからメインメモリへの読み込みだとは言っても、決して無視する事の出来ない時間的コストを要します。 体感速度という意味での恩恵は、PSPに比較すれば小さいやもしれませんが、キャッシュ機能もまたOS管理下メモリの使用用途としては一般的ですからね。搭載されれば、それなりにメリットがあります。 ○自動録画 PS4の目玉機能ですね。 ポチポチソーシャルブラウザゲーとは関係など無い話ですが、昨今のコンソールゲームにおきましては、ソーシャル要素の拡充がトレンドですね。 例えば、プレイ内容を動画にしてSNSへアップ、こうした要望を、OSレベルでサポートしていく流れが一般的になって参りました。 PS4のコントローラーにも搭載される「SHARE」ボタンは、まさにこの布石と言えるでしょう。 例えば、何気なく何かのゲームをプレイ中、 「あああ!今の俺のプレイ最高! 今のアタシのボスの倒し方、美しかった過ぎる!」 と珍妙な高揚感に胸を躍らせる事もあるでしょう。 そんな時、「あああ、今のプレイ動画を録画しておけば、フェイスブックにアップロードして変則リア充テイスト醸し出す事が出来たのにぃ!」と嘆く事もないのです。そう、PS4ならね。 PS4はなんと、直近15分だかのプレイ状況を「自動で、バックグラウンドで」OSが録画します。「今から15分前まで過去に遡った動画が、いつでも取り出せる」。そこから好きな部分を切り取って、SNSへアップ。そんな事が簡単に出来るのです。 こうした素敵機能をVITAでも実現させる為には、やはり、OS管理下のメモリが必要になってくる事でしょう。 他、増えたメモリをOSが利用する為のアイディアは幾らでも在りますが、重要な点は、このどれもが旧VITAとの共存が可能である点です。 旧VITAユーザーへなんら不便を強いらる事なく、新VITAユーザーへはその恩恵を提供出来るのです。 ●画面解像度変更/インチ変更される? さて。 iPhone5では行われた解像度変更。旧アプリとの互換性維持を見事にやってのけた前例であると、「傍目には」見えるでしょう。 しかし、これはあくまでも、各サードパーティによる血の滲む努力の賜です。いまやiOSプラットフォームにおける各種ゲームそれぞれ全てが、独自に、乱立する変態解像度群その全てに画面構成を考えなければならないという、腐りきった開発スタイルが強制されています。 (ほんと、ジョブス氏の居ないアップルは終わってます) VITAがこんな事をしてくるでしょうか? 仮にそれが在るのだとしても、新しく増えた画面領域は、いつだってOSのものであるべきでしょう。ゲームに解放したその時から、各メーカーにおける画面構成コストは跳ね上がるのです。 解像度ではなく、画面サイズだけが大きくなるという所謂3DSLL方式ならば、何の問題も在りませんけれどもね。 ●クロックが上がる!? PSPが、その登場時にはクロック222MHz駆動を上限と定めながら、ある時点より333Mhz駆動を解放したあの時と同じ様に、新VITAにおいて、現行機超クロック駆動の仕組みを搭載する可能性について考察してみましょう。 メモリ事案等と同様に互換性維持問題が最大の障壁ではありますが、この点、PSP後期ではなんと互換性を破棄するソフトが多数生まれています。 「初期型PSPでの動作は保証外」こう宣言するソフトが生まれ始め、また、SCEもこれを許容し始めたのです。 この時期のVITAでこんな事が起こるとは考え辛いところでありますが、こうした変移への布石というものは、往々にしてひっそりと仕組まれるものでありますからね。 もしもVITAバージョンアップ項目の中にクロック系が在るとするならば、それは将来、現行VITAを切り捨てるプランがあるという事に他なりません。 進化に痛みはつきものですし、だからと言って現行VITAが今すぐ使い物にならなくなるという訳ではありませんが、これからVITAの購入を検討している方には、判断材料の一つとなりましょう。 ![]() まとめ 色々と錯綜する噂群をいくら弄くり回してみたところで、確証が得られるというわけでもないのですけれども、火のない所へ水煙。どれも、そう信憑性に欠くというわけでもなさそうです。 最終的に出荷される新VITAが、どんな変化を遂げているのか、そもそもいつ出るんだという点含め、答えはまだまだ判りません。 しかしながら。 これらの噂にもある程度の信憑性があるものと仮定し、考察を踏まえてみれば、どうやらこれはPS4連携へ向けた布石であると判ります。 多くの機能、多くのバージョンアップ項目がそれを語っている事は明らかでしょう。 この時代。展開されるコンソール機というものは、それまでの様に単体で完結する「据え置き機」とは一線を画していく必要がある事は明白ですが、PS4においても、コンパニオンアプリとの連動等判りやすい形式を皮切りに、様々な変移を見せてくれる事でしょう。 今、VITAにバージョンアップが行われるのならば、このプラン拡充の為であるという以外には、考えられないのです。 PS4+VITA連動。 WiiUの存在意義すら問われかねない大変革は「きっと」、間も無くやってくるでしょう。 なんとも楽しみな時代がやってきましたね!
![]() シリーズ記事まとめ ■Aニュース、ガジェット通信 寄稿記事 「『連載.jp』寄稿「ゲームプログラマが語る「プロ棋士に勝ったAIは、タクシー基本無料化をもたらす?」」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る ”買わない理由”がもたらす充足感と、開発者達の心理」」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る アップデート版に潜む開発者モラルハザード」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る ソフトやアプリと携帯ゲーム課金における経済行動学」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る。新しいゲーム機が定期的に生まれる理由」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る 楽しさの仕組み ゲームメカニクス」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る 3Dテレビとゲームの微妙な関係 その打開策」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る 無料アプリのビジネスモデルと舞台裏」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「新発表ラッシュに見るクラウド大航海時代の幕開け」」 ■ゲーム制作初心者さん向け系 ゲームプログラマが語る。なんちゃってリードプログラマにはなるな!ゲーム造りで放棄してはいけない大切な事 ゲームプログラマが語る。今さら聞けないフレームレートに纏わる話。秒間60?16ミリ? ゲームプログラマが語る。「浮動小数点」と商業レベルで上手に付き合う方法 「ゲームプログラマが語る。ゲーム制作初心者の方へ小ネタ「クォータービュー入門」」 「ゲームプログラマが語る。「正しい乱数」が彩る確率世界とエンターテイメント」 「iPhoneアプリ、ゲーム制作初心者の方へ小ネタ「線分と円の交差」」 「iPhoneアプリ作者より、ゲーム制作初心者の方へ小ネタ「2Dベクトル」」 「iPhoneアプリ作者より、ゲーム制作初心者の方へ小ネタを一つ」 ■「プロのゲームプログラマとして、ゲーム製作に関する書評を」シリーズ ゲームプログラマが語る書評:「MMORPGゲームサーバープログラミング」を読んでみた ゲームプログラマが語る書評:「ゲームプログラマになる前に覚えておきたい技術」を読んでみた ゲームプログラマが語る書評:「ゲームエンジン・アーキテクチャ」を読んでみた ■個人でも出来る、マルチプラットフォーム開発関連 「ゲームプログラマが語る。iOSゲームをWinマルチプラットフォーム開発・その4」 「ゲームプログラマが語る。iOSゲームをWinマルチプラットフォーム開発・その3」 「iPhoneアプリ作者が語る。マルチプラットフォーム化その2・アトミック型定義のススメ」 「ゲームプログラマが語る。iOSゲームをWinマルチプラットフォーム開発・その1」 ■リリースしました系 「PASTEL-ORBIT/TeamDyquemアプリ第19弾。ローグライク決定版「隣人は魔王」をリリースしました。」 「TeamDyquemアプリ第18段。ご当地バトルRTS「埼玉クエスト」をリリースしました。近隣の県を滅ぼそう(*-_-*) 埼玉以外でも遊べます #47app」 「アプリ新作「ネコりす マカロン」をリリースしました」 「埼玉県ご当地アプリ、「タッチ the さいたま」をリリースしました #47app」 「アプリ新作「ひよこガーデン」をリリースしました」 「TeamDyquem新作。結構真面目なアクションパズル「ネコりす」リリース」 「iPhoneアプリ作者が、iアプリ「泡リス女子部 for iアプリ」をリリースしました」 「自作iPhoneアプリ改良版、「ネコがゴミのようだネ:アーケード」をリリースしました」 「iPhoneアプリ作者が、「まりも育成」for iモードをリリースしました」 「iPhoneアプリ新作 「ナタ・デ・ネコ」 をリリースしました」 「秋刀魚は関係ないけれど、新作「i-Wishbone」リリース」 「アプリ新作「ネコがゴミのようだ」。プロモ動画をアップしてみた」 「「泡リス 女子部」、販売開始」 「AppBankにまりも紹介記事が!」 「ゲームプログラマとして参加。ご当地47都道府県アプリプロジェクト #47app」 □ビジネス系 「ゲームプログラマが語るドコモiPhoneと、インフラから合法的に大金を抜くスキーム」 「ゲームプログラマが語る。秀丸エディタのビジネスモデル」 ■SFネタ系 「ゲームプログラマがSFを語る。意識はどこからやってきて、死んで、そして何処へ行く?」 「ゲームプログラマが語る。気の遠くなるスキもない程の、宇宙の話」 「iPhoneアプリ作者が語る。流れ星に馳せる真実」 「iPhoneアプリ作者が警笛。どこでもドアの使い過ぎには注意」 「iPhoneアプリ作者が語るSETI理論。異星人さんは何処!?」 ![]() |
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