![]() パステル オービット |
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ゲームプログラマが語る。PS3からPS4へ、画質や処理速度だけじゃない大切な変化
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![]() 厳しい寒さが漸くなりを潜め、新しい季節の頭に洗車でもと勢い勇んでみれば大雨。 そろそろ、惑星規模での天候管理システムの開発が望まれるこの星ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。 最近は、すっかりダークソウル2の虜。日々のちょっとした合間にも、地道に元気に死にまくっているTeamDyquemで御座います。皆様こんにちは。 ![]() 日本でも漸く発売となったPS4。その圧倒的なポテンシャルについは各メディアにてのべつ幕なし語られている事と思いますが、グラフィックが綺麗になった、処理速度が上がったメモリが8GBだのと、スペック的な事をつらつらと連ねられても、一般消費者にとってみれば何の事やらというところでしょう。 海外ではともかく、国内においては未だキラータイトルがあるわけでもありませんし、スペック押しマーケティングでは起爆剤とはならないでしょう。友達がプレイしている「KNACK」を眺めた所で、4万5万(※1)をポンと出す人もなかなかおりません。 ファミコン黎明期に端を発するゲームコンソール機というものは今や――まるで人類文明が迎えるであろう近未来様相であるかの様に――進化の袋小路に入りかけていると言って良いでしょう。 機能やスペックに関しては、今後10年20年、それこそまだまだ鰻登りに邁進していく事でしょうが、ユーザー体験に関してはある程度飽和状態に達していると言えましょう。 例えばグラフィックにしてみても、PS3後期作品群等では既に、もう十分に綺麗なんです。僕らの様に業界へ従事している人間やゲーマーさんならばともかく、一般のホビーユーザーにおいてみれば、これ以上どう進化したところで、「おーー綺麗だ」程度の感想が関の山なんです。 スーファミからプレステの進化は、そりゃあもう誰が見てもそれと判る、大きな進歩でした。カセットからCDというのも大きなインパクトでしたね。 プレステからPS2もなかなかのものです。DVDだって、PS2のおかげで普及した……言っては過言でかもしれませんが、貢献したことは確かでありましょう。 PS2からPS3においては、グラフィックもここまで来たか!感があったかと思います。一般ユーザーから見れば、ゲームグラフィックも頂点まで来たと感じたのではないでしょうか。加えてブルーレイ搭載ですからね。やはり、大きなインパクトがあったかと思います。 さて、PS3からPS4。 あまりインパクトを感じない?そりゃあそうですよね。それまでに見られた様なキャッチーな変化はありません。グラフィックだってそりゃあ綺麗なんだろうけれども、PS3のそれと並べられなければ違いを感じられないタイトルも多いでしょう。ブルーレイ読み込み速度が上がった?そんな事に一喜一憂するホビーユーザーはおりません。 進化が飽和状態……とは言いませんが、インパクトは飽和状態なんです。 ![]() 他のメディアとは違う、PS3、PS4比較 さて、各メディアが色々とまとめているPS3、PS4比較は、それぞれに譲るといたしまして、本BLOGにおきましては本BLOGらしく、開発者目線のお話しをさせて頂きたいと思います。 性能差が大きいのは判りましたが、今現在の本体販売台数は全世界的にみてもまだまだ発展途上であり、この状況でPS4独占コンテンツ(もしくはXBOX-ONEマルチ)を開発する事は、メーカーにとり大変リスキーです。 となれば必然、PS3PS4マルチとなるわけですが、マルチ開発は基本的に、スペックの低いハードへ合せた開発となるわけであり、結果PS4版でもインパクトのある変化を望めません。 トゥームレイダー等のAAAコンテンツが、60FPSで動いてしまうPS4のポテンシャルは確かに存在しているのですが、開発にかかるコストという意味では、散々作り辛いと言われているPS3開発を引きずっている事には変わり在りません。 正直に言えば我々開発側は、PS3での開発には少々辟易しております。 極端に少ないメモリに、特殊極まりないハードウェア構成、使い物にならないGPUを複数のSPEでカバーしながら、おまけにVRAMは別空間。コンパイラの進化まで止まっていますから(VITAの方が先行していますしね)、最新のコーディング技術もPS3だけ特殊対応しなければならず、挙げ句の果てにはブルーレイからのフルインストールも例外的な例を除けば不可能で、ローディング時間削減にも神経をすり減らさなければなりません。(まだまだあるぞ!) いや、良いところも沢山あるハードウェアなのですが、今となってはもう足を引っ張られる事、しなくても良い苦労が多すぎるんですよ。 PS2時代(※2)から続く我々開発側からの積年の悲鳴を、今回SCE、遂に聞き入れてくれました。 PS2、PS3と続いてきたド変態ハードウェア構成(※3)は刷新され、PS4はとうとうなりました。「素直なハードウェア構成」に。 上記「※3」でも書きましたが、ゲーム機を素直なハードウェア構成にするという事は、とてもとても難しい事なんです。 しかしSCEはやってくれました。まさに、血の滲む様な経営努力と言えるでしょう。 この点、スマホプラットフォーム側も是非とも見習うべき点でありましょう。(※4) ![]() PS4で何が起こる? PS4は、我々開発者にとってみれば圧倒的にゲームを作り易いハードウェアです。 死にものぐるいでメンテナンスしていたPS3事情は緩和され、特殊対応に奪われまくっていた長大な時間が返ってきます。 (例えば、このメモリ量でSKYRIMを動かしているだなんて、もう開発者達に同情してしまうくらいですよ) ゲーム本編の面白さやクォリティを追求する為に、本来割かなければならなかった時間を確保する事も出来る様になるでしょう。 QA(品質保証)に割かなければならない時間にも変化が起きるでしょうし、開発開始からある程度動くものになるまでの時間も圧倒的に速くなる事でしょう。(エンジンの有無、どちらにおいてもです) これはつまり、良質なゲームが短いスパンで登場し続けるいう事を示唆していると言っても良いでしょう。 単純に開発が楽になるというだけの話ではありませんし、考えなければならない事は寧ろ増えておりますが、アーキテクチャ(ゲーム機の構成)がシンプルになる事は、開発側だけではなく、結果としてユーザーにも恩恵をもたらします。 開発側の余力が残れば、そこから生み出されるコンテンツは結局、ユーザーに還元されていくわけですね。 これまでの様に、登場と同時にガツンと売れていく様な形ではなく、徐々に浸透していくハードウェアとなる事でしょう。 2年後に今を思いだしてみればきっと、あ、あの頃とは全然変わっているなとユーザー誰しもが思う事でしょう。 なんとも楽しみな時代がやって参りましたね! ![]() ※1 PS4が4~5万という話には直接関係ないですけれど、もっと高い――7万もする――iPhoneが世界にて何千万台ペースでガンガン売れていくというのも凄い話ですよね。そりゃあ、時価総額的な意味でもAppleが帝国化するわけですよね。 ※2 PS2も、まーーーー変態ハードウェアでした。特殊極まりないという意味ではPS3と良い勝負です。 PS2初期時代、テキストエディタを横に2画面並べ同時にスクロールする様に設定し、二人三脚並列実行されるRISCプログラムをパズルの様に書き進め、組み替えながらパフォーマンスを上げていった、楽しく聞こえそうで全く楽しいくない処か、夢の中でまでチューニングを強いられる、「PS2、悪夢のVU並列プログラミング」がトラウマの様になっています。まあ、プログラマとしてみれば純粋に楽しかったんですけどねw ※3 こんな所ではなく、ちゃんとしたBLOGエントリー組んでフォローしたい所ですが、ゲームコンソール機がある程度特殊な構成になる事は致し方ありません。 その時代時代の先端表現を行えるハードウェアを作る事は、PCならば簡単です。秋葉原へ赴き、10万円しない位のそこそこPCを買ってくれば良いのですから。 しかし、同等の、若しくはそれ以上の性能と、PCなんかとは比べものにならない安定性とサービスを載せたハードウェアを、3万だの4万だので作らなければならないとなれば、ゲーム機というものは、どうしたって工夫や特殊な構成の組み合わせで生み出してくしかないのです。 ※4 スマホゲーム関連。 端末バリエーションが複雑怪奇に増殖しいっており、OSの自由奔放な仕様変更ラッシュに翻弄されっぱなしのスマホゲーム開発。PS4がみせた進化とは真逆に進んでいるわけですから、ゲーム、スマホゲームの棲み分けが更に進む事も暗示しているかと思います。あちら側は、これから益々大変でしょう……。
![]() シリーズ記事まとめ ■Aニュース、ガジェット通信 寄稿記事 「『連載.jp』寄稿「ゲームプログラマが語る「プロ棋士に勝ったAIは、タクシー基本無料化をもたらす?」」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る ”買わない理由”がもたらす充足感と、開発者達の心理」」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る アップデート版に潜む開発者モラルハザード」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る ソフトやアプリと携帯ゲーム課金における経済行動学」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る。新しいゲーム機が定期的に生まれる理由」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る 楽しさの仕組み ゲームメカニクス」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る 3Dテレビとゲームの微妙な関係 その打開策」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る 無料アプリのビジネスモデルと舞台裏」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「新発表ラッシュに見るクラウド大航海時代の幕開け」」 ■ゲーム制作初心者さん向け系 ゲームプログラマが語る。なんちゃってリードプログラマにはなるな!ゲーム造りで放棄してはいけない大切な事 ゲームプログラマが語る。今さら聞けないフレームレートに纏わる話。秒間60?16ミリ? ゲームプログラマが語る。「浮動小数点」と商業レベルで上手に付き合う方法 「ゲームプログラマが語る。ゲーム制作初心者の方へ小ネタ「クォータービュー入門」」 「ゲームプログラマが語る。「正しい乱数」が彩る確率世界とエンターテイメント」 「iPhoneアプリ、ゲーム制作初心者の方へ小ネタ「線分と円の交差」」 「iPhoneアプリ作者より、ゲーム制作初心者の方へ小ネタ「2Dベクトル」」 「iPhoneアプリ作者より、ゲーム制作初心者の方へ小ネタを一つ」 ■「プロのゲームプログラマとして、ゲーム製作に関する書評を」シリーズ ゲームプログラマが語る書評:「MMORPGゲームサーバープログラミング」を読んでみた ゲームプログラマが語る書評:「ゲームプログラマになる前に覚えておきたい技術」を読んでみた ゲームプログラマが語る書評:「ゲームエンジン・アーキテクチャ」を読んでみた ■個人でも出来る、マルチプラットフォーム開発関連 「ゲームプログラマが語る。iOSゲームをWinマルチプラットフォーム開発・その4」 「ゲームプログラマが語る。iOSゲームをWinマルチプラットフォーム開発・その3」 「iPhoneアプリ作者が語る。マルチプラットフォーム化その2・アトミック型定義のススメ」 「ゲームプログラマが語る。iOSゲームをWinマルチプラットフォーム開発・その1」 ■リリースしました系 「PASTEL-ORBIT/TeamDyquemアプリ第19弾。ローグライク決定版「隣人は魔王」をリリースしました。」 「TeamDyquemアプリ第18段。ご当地バトルRTS「埼玉クエスト」をリリースしました。近隣の県を滅ぼそう(*-_-*) 埼玉以外でも遊べます #47app」 「アプリ新作「ネコりす マカロン」をリリースしました」 「埼玉県ご当地アプリ、「タッチ the さいたま」をリリースしました #47app」 「アプリ新作「ひよこガーデン」をリリースしました」 「TeamDyquem新作。結構真面目なアクションパズル「ネコりす」リリース」 「iPhoneアプリ作者が、iアプリ「泡リス女子部 for iアプリ」をリリースしました」 「自作iPhoneアプリ改良版、「ネコがゴミのようだネ:アーケード」をリリースしました」 「iPhoneアプリ作者が、「まりも育成」for iモードをリリースしました」 「iPhoneアプリ新作 「ナタ・デ・ネコ」 をリリースしました」 「秋刀魚は関係ないけれど、新作「i-Wishbone」リリース」 「アプリ新作「ネコがゴミのようだ」。プロモ動画をアップしてみた」 「「泡リス 女子部」、販売開始」 「AppBankにまりも紹介記事が!」 「ゲームプログラマとして参加。ご当地47都道府県アプリプロジェクト #47app」 □ビジネス系 「ゲームプログラマが語るドコモiPhoneと、インフラから合法的に大金を抜くスキーム」 「ゲームプログラマが語る。秀丸エディタのビジネスモデル」 ■SFネタ系 「ゲームプログラマがSFを語る。意識はどこからやってきて、死んで、そして何処へ行く?」 「ゲームプログラマが語る。気の遠くなるスキもない程の、宇宙の話」 「iPhoneアプリ作者が語る。流れ星に馳せる真実」 「iPhoneアプリ作者が警笛。どこでもドアの使い過ぎには注意」 「iPhoneアプリ作者が語るSETI理論。異星人さんは何処!?」 ![]() |
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