![]() パステル オービット |
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ゲームプログラマが語る。もうファミコン時代じゃない!ゲームにおける山場作りの今
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![]() 最近、「弱虫ペダル」という漫画が流行っているらしいですね。 昔々、大昔。まだ中学生だった当時の僕とその幼なじみ数人は、学校の部活を尻目に、ロードレース三昧にその三年間を過ごしておりました。当時は本気で全く無名なスポーツで、自転車乗るのにどうしてヘルメット被るの?と奇異な目でみられながらも、けなげに毎朝朝練に勤しみ、漫画にも登場した伊豆修善寺のサーキットやその他、関東津々浦々のレースにも転戦しておりました。 そんな、超ド・マイナーだと思っていたロードが今、えらく流行っている様で、嬉しいやら何やら複雑であります。相当きついスポーツですからねぇ。 朝起きてみて雨が降っていると、ほんとに泣くほど嬉しかった仄暗い思い出が、今も走馬燈の様に漂う TeamDyquem で御座います。皆様、こんにちは。 さてさて。 ![]() ゲームの「おもしろさ」? スタートボタンをチャランと押して、ゲームが始まり倒し倒され、ひとしきり盛り上がってゲームオーバー。 赤い帽子の小さな配管工が、山谷を超えキノコを踏んづけていた頃の、古き美しき黎明期におけるゲームならばそれは、それでゲームメカニズムが完結しており、ゲームプレイにおける一つのスタイルでありました。 時は移り変わり現代。ゲームスタイルの変化変貌たるや実に目を見張るものがあり、近代ゲームにおけるそのユーザー体験たるや今や、蒼々たるバリエーションにより彩られています。 ゲームを「ゲーム」と一言に表現出来ていた時代はとうに過ぎ、多様化するジャンルだけにはとどまらず今では、そのデバイスの差、料金体系の差、目的の差など、ゲームは今まさに、未曽有宇の過渡期へ突入していると言えるでしょう。 ユーザーの求めるゲーム体験を提供する為に、我々開発者が認識しなければならない事として、ユーザーが体験する「おもしろさ」というものを今回、時間軸にして考えてみましょう。 ![]() 「おもしろさ」を配置するタイミング まず、わかりやすい例としてゲームセンターのゲームを例にとってみます。 昨今、マーケット縮小の危機にあると言われているこの分野。所謂アーケードゲームと呼ばれるものですが、基本的に、今も昔もそのビジネスモデルに大きな差はありません。 百円を投入したユーザーへ、一定時間の楽しさを提供するという形がその基本スタイルで、細かい裏事情については割愛いたしますが、通例として、百円で平均三分間の楽しい時間を提供し、その続きをプレイする為に(コンティニュー)もう百円を如何に投下してもらえるかというゲーム造りを目指します。 百円における平均プレイ時間がこれ以上伸びていくと、ゲームセンターの収益に影響すると言われており、これをインカム率等と表現しますが、この率が下がってしまうとそのゲームは、ゲームセンター側からの発注率が下がってしまいます。 顧客の反応に止まらず、開発者がその三分間を如何にエキサイティングに彩るかという部分までを含めてこれら全てを、ゲームセンタービジネスモデルとして正しく理解し、ゲーム造りを進めなければなりません。 麻雀ゲームへ、百円を投下と同時にロンと叫ばれてゲームオーバーとなるゲームモデルに唖然としていた世代がどれほどいらっしゃるかはともあれ、適切なプレイ時間、その中で推移する感情の盛り上がり曲線タイムラインを意識したゲーム造りが大切です。 つか、マジで百円返せ。 ![]() 次に、家庭用ゲームで遊ぶ事の出来る大規模ロールプレイングゲームを例に考えてみましょう。 RPGの盛り上がりが最初の三分間にしかなかったら、ド偉い事になりますね。後の五十時間だかを惰性でプレイしなければならないゲームなどありはしませんから、大抵は、物語の推移に従い、例えば、プレイ開始一時間後にまずは起承転結の「起」が始まり、十時間後辺りに大きな山が来る、等の様にゲームが盛り上がっていく事でしょう。 では、同じRPGですが、最近では珍い形では無くなったF2Pやフリーミアムと呼ばれるビジネスモデルを仮定してみましょう。所謂、基本無料ですね。 このタイプのRPGを普通に、つまり、前述の様に一時間後・十時間後に盛り上がりがやって来る様な形で造ってしまうと、このプロジェクト、もはや百発百中と言って良い程の超絶無慈悲スナイパーの如し高確率で、失敗します。 この差は一体、どこからやってくるのでしょう。 ![]() 言わずもがなでもありますが要因の一つとして、ユーザー心理における、財布の紐のゆるめ方にも起因していると言えるでしょう。 簡単に言えば、無料でダウンロードしてきたゲームに対して人は、そこへかける情熱の度合いが低くなる傾向があります。プレイ開始後、すぐにその楽しさを体感出来なければ、いつ訪れるのか判らない楽しい瞬間に向けて長々と時間をかけてはくれません。今や、無料のゲームは幾らだって存在しているのですから。 一方、五千円なりの投資をして購入したゲームを、 開始五分でイキナリ見限り、 ディスクを引っこ抜き、 愉快な奇声をあげながら窓からパッケージごと投げ捨てる様な人も、 まあ、なかなか希でしょう。 居ないわけではないでしょうが(居ないでくれ)、大抵は、ある程度腰を据えて遊んでみるのでは無いでしょうか。 料金体系一つをとっても、ユーザーに盛り上がりを感じてもらうべきポイントにはこれだけの差が生まれます。 F2Pゲームであれば、ハッキリと目に見えた形にて、「楽しさのスタートダッシュ」が重要です。 最初の三分なり五分なりに楽しさが集約されていなければ、そのゲームを労せず事無く無料で手に入れたユーザーは、すぐに見限ってしまうでしょう。そして、(F2Pタイプのゲームでは特に)一度離れたユーザーは決して、二度と、ほぼ確実に帰ってはきません。 こうした至極当たり前の事情にすら目を背け、 基本無料大作RPG!等というキャッチコピーに踊らされ、 長々とオープニングを流し、悠長にストーリーを語り、 延々チュートリアルが行われるゲームを見かけると、 ああ、これは売る気がある無い以前の問題であるなと苦笑いに胸が痛くなるのであります。 初めての起動から、ゲームを終了させるまでの時間をログとして集計でもしてみれば明らかでありますが、 ユーザーの気持ちの推移を考えたゲーム造りというものを、 心がけたいところでありますね。 尚、この辺りの話題に関しましては、以前のエントリー 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る 楽しさの仕組み ゲームメカニクス」」 ![]() こちらも、併せてご覧頂けましたら光栄です。
![]() シリーズ記事まとめ ■Aニュース、ガジェット通信 寄稿記事 「『連載.jp』寄稿「ゲームプログラマが語る「プロ棋士に勝ったAIは、タクシー基本無料化をもたらす?」」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る ”買わない理由”がもたらす充足感と、開発者達の心理」」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る アップデート版に潜む開発者モラルハザード」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る ソフトやアプリと携帯ゲーム課金における経済行動学」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る。新しいゲーム機が定期的に生まれる理由」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る 楽しさの仕組み ゲームメカニクス」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る 3Dテレビとゲームの微妙な関係 その打開策」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「ゲームプログラマが語る 無料アプリのビジネスモデルと舞台裏」」 「『Aニュース/ガジェット通信』寄稿「新発表ラッシュに見るクラウド大航海時代の幕開け」」 ■ゲーム制作初心者さん向け系 ゲームプログラマが語る。なんちゃってリードプログラマにはなるな!ゲーム造りで放棄してはいけない大切な事 ゲームプログラマが語る。今さら聞けないフレームレートに纏わる話。秒間60?16ミリ? ゲームプログラマが語る。「浮動小数点」と商業レベルで上手に付き合う方法 「ゲームプログラマが語る。ゲーム制作初心者の方へ小ネタ「クォータービュー入門」」 「ゲームプログラマが語る。「正しい乱数」が彩る確率世界とエンターテイメント」 「iPhoneアプリ、ゲーム制作初心者の方へ小ネタ「線分と円の交差」」 「iPhoneアプリ作者より、ゲーム制作初心者の方へ小ネタ「2Dベクトル」」 「iPhoneアプリ作者より、ゲーム制作初心者の方へ小ネタを一つ」 ■「プロのゲームプログラマとして、ゲーム製作に関する書評を」シリーズ ゲームプログラマが語る書評:「MMORPGゲームサーバープログラミング」を読んでみた ゲームプログラマが語る書評:「ゲームプログラマになる前に覚えておきたい技術」を読んでみた ゲームプログラマが語る書評:「ゲームエンジン・アーキテクチャ」を読んでみた ■個人でも出来る、マルチプラットフォーム開発関連 「ゲームプログラマが語る。iOSゲームをWinマルチプラットフォーム開発・その4」 「ゲームプログラマが語る。iOSゲームをWinマルチプラットフォーム開発・その3」 「iPhoneアプリ作者が語る。マルチプラットフォーム化その2・アトミック型定義のススメ」 「ゲームプログラマが語る。iOSゲームをWinマルチプラットフォーム開発・その1」 ■リリースしました系 「PASTEL-ORBIT/TeamDyquemアプリ第19弾。ローグライク決定版「隣人は魔王」をリリースしました。」 「TeamDyquemアプリ第18段。ご当地バトルRTS「埼玉クエスト」をリリースしました。近隣の県を滅ぼそう(*-_-*) 埼玉以外でも遊べます #47app」 「アプリ新作「ネコりす マカロン」をリリースしました」 「埼玉県ご当地アプリ、「タッチ the さいたま」をリリースしました #47app」 「アプリ新作「ひよこガーデン」をリリースしました」 「TeamDyquem新作。結構真面目なアクションパズル「ネコりす」リリース」 「iPhoneアプリ作者が、iアプリ「泡リス女子部 for iアプリ」をリリースしました」 「自作iPhoneアプリ改良版、「ネコがゴミのようだネ:アーケード」をリリースしました」 「iPhoneアプリ作者が、「まりも育成」for iモードをリリースしました」 「iPhoneアプリ新作 「ナタ・デ・ネコ」 をリリースしました」 「秋刀魚は関係ないけれど、新作「i-Wishbone」リリース」 「アプリ新作「ネコがゴミのようだ」。プロモ動画をアップしてみた」 「「泡リス 女子部」、販売開始」 「AppBankにまりも紹介記事が!」 「ゲームプログラマとして参加。ご当地47都道府県アプリプロジェクト #47app」 □ビジネス系 「ゲームプログラマが語るドコモiPhoneと、インフラから合法的に大金を抜くスキーム」 「ゲームプログラマが語る。秀丸エディタのビジネスモデル」 ■SFネタ系 「ゲームプログラマがSFを語る。意識はどこからやってきて、死んで、そして何処へ行く?」 「ゲームプログラマが語る。気の遠くなるスキもない程の、宇宙の話」 「iPhoneアプリ作者が語る。流れ星に馳せる真実」 「iPhoneアプリ作者が警笛。どこでもドアの使い過ぎには注意」 「iPhoneアプリ作者が語るSETI理論。異星人さんは何処!?」 ![]() |
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